ガネーシャ・サボサンダルが出来るまで Vol.8
沢山話して沢山泣いて沢山笑った3時間。
それはこれから先も何物にも代えがたい大切な時間となります。
時計の針は午後3時を回っています。帰らなければなりません。
そろそろ帰らなきゃ。そう告げるとマオ婆ちゃんは名残惜しそうにお土産をくれました。

「ウチで編んだハンモックだよ。日本に持って返って庭で使いな。仕事ばっかりしてないでたまにはゆっくりするんだよ」

「それからこれはウチの田んぼで採れた一番上等の自慢のお米。とても美味いんだから沢山食べな!」
マオ婆ちゃん。
日本の家の庭はハンモックを吊るす程広くないんだ。ボクらはとても小さい家に住んでいるんだよ。
美味しいお米も日本に持って帰ることが出来ないよ。お米の輸入はとても厳しいんだ。
口には出さずボクはじっとそのやり取りを見守るしかありませんでした。
別れ際バイヤーすがっちにアレコレと世話を焼く婆ちゃん。
夏休みに親戚の婆ちゃんの家に遊びに行くと帰りがけはいつもこんなんだったなぁと自分の幼い頃を思い出し何とも言えない気持ちになります。
懐かしいやりとりです。本当の婆ちゃんはとっくにあの世に行ってしまったけれどカンボジアに新しい婆ちゃんが出来ました。
国は変われど別れ際に食べ物を持たせるのは世界中の婆ちゃん共通の行動なのかもしれません(笑)
じゃまたね!また会おうね!!

別れを告げクルマに乗り振り返るとマオ婆ちゃんと娘のアンさんがいつまでもいつまでも小さくなって見えなくなるまでカンボジアの青い空の下に立ち見送ってくれたのでした。
またしてもココロが動くグッと来る瞬間です。
この時の気持を忘れずにお客さんにも伝えたい。そう思い「ガネーシャ・サボサンダルが出来るまで」を書いています。

皆さんの元にお届けするにはまだまだ掛かります。
数時間前に画像手前から奥に向かって走った道を今度は画像の奥から手前へ。
一路バンコクに向けてアジアハイウェイをとんぼ返り。アパートにたどり着くのは午後9時を回る頃です。
次の日に向かうのはタイ最北端の街チェンライ。往復で1,600キロの移動になるため飛行機を使います。
ここでようやくガネーシャ・サボサンダルがカタチになります。そしてもちろん日帰りです(笑)
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