ネパールの治安と旅行者が知るべき安全対策

ネパールは、人々が穏やかでチベット文化の影響を受けた魅力あふれる国です。

一方で、デモや停電、交通の混乱、観光地でのスリや詐欺、山岳地帯での高山病など、独特のリスクも存在します。

しかし、危険ばかりが強調されがちですが、実際は十分に旅を楽しめる国です。

ボク自身20年以上ネパールを訪れていますが、危険を感じたことは一度もありません。

大切なのは「リスクを知り、対策をしておくこと」。それが一番の安全策です。

◆この記事でわかること
・ネパール全体の治安傾向
・旅行者が遭遇しやすいトラブルと回避方法
・カトマンズ・ポカラ・ルンビニなど都市別の治安事情
・女性旅行者が気をつけたいポイント
・実際に体験したトラブルや医療エピソード
・安心して旅をするためのチェックリスト

読み終えたときには、不安より魅力の方が大きいと感じてもらえるでしょう。

ネパール全体の治安傾向

ネパールの空とタルチョ

「ネパールは治安が悪いの?」と不安に思う方は多いでしょう。

実際にボクが何度も訪れて感じたのは、ネパールは必ずしも「危険な国」ではないということです。ただし、旅行者を狙ったトラブルは確実に存在します。

特にデモ(バンダ)、停電や交通の混乱、観光客へのスリや詐欺、山岳地帯での高山病など、ネパール特有のリスクを理解して備えることが安全への第一歩です。

首都と地方の違い

カトマンズやポカラの都市部は観光客が多く、スリやぼったくりの温床になっています。

一方で、地方の村や山岳地帯では人々が親切で安心できることが多いです。ボクはトレッキング中、村の人に紅茶をご馳走になったこともあります。

昼と夜の治安

昼は賑やかで比較的安全ですが、夜になると街灯が少なく真っ暗な通りも多いです。

タメル地区で夜に歩いたとき、昼のにぎわいが嘘のように消え、不安を感じました。夜間の一人歩きは避けるべきです。

旅行者が狙われやすい場所

・トリブバン国際空港
・カトマンズのタメル地区
・ポカラのレイクサイド
・観光地や寺院周辺
・長距離バスパーク

これらはスリや客引きが多発するスポットです。特に空港到着直後は狙われやすいので注意しましょう。

犯罪統計と安全レベル

外務省はネパール全土を「レベル1:十分注意」に指定。渡航禁止ではありませんが、デモやバンダが頻発するため行動が制限されることもあります。

旅行者が遭遇しやすいトラブル

ネパールのカトマンズの夜

空港・バスターミナル

空港タクシーで「メーターが壊れている」と言われ高額請求された経験があります。

荷物を勝手に運ばれ「チップ」を要求されることもあります。

対策:公式カウンターや配車アプリを利用すること。毅然と断る勇気が必要です。

観光地

ダルバール広場では「ガイド」を名乗る人にしつこく付きまとわれました。

ルンビニでは僧侶を装った人に花を渡され、後で「寄付」を求められる詐欺も有名です。

対策:ガイドは公式窓口で。寄付は無理に応じないこと。

街歩き・移動中

タメル地区でリュックのファスナーを開けられそうになったことがあります。

また、ローカルバスでは座席下に置いたバッグが消えるケースもありました。

対策:バッグは前がけ。夜はローカルバスを避けること。

水・食事・健康リスク

ポカラで氷入りジュースを飲んで腹痛になったことがあります。停電で冷蔵庫が止まり、食品が傷んでいたのでしょう。

対策:・封が開いていないペットボトルを確認
・氷や生野菜は避ける
・加熱したての料理を選ぶ

ネパールの観光ビザの延長方法についても記事を書いています。参考ください。

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jタイプールの夕暮れ時を走るオートリキシャ

都市別の治安と注意点

ネパールのリキシャマン

カトマンズ

タメル地区は観光客が多く、スリや詐欺が多発します。

「ホテルは閉鎖した」と言って別の宿に誘導する詐欺も体験しました。

また、パタンやバクタプルでも観光客狙いのぼったくりタクシーが多く、夜は真っ暗で治安が悪化します。

スワヤンブナート(モンキーテンプル)

猿に食べ物を奪われたり、噛まれて怪我をするケースがあります。

狂犬病のリスクがあるため、野生動物には近づかないこと。

ポカラ

レイクサイドはリゾートエリアですが、夜は酔った旅行者が狙われます。

湖周辺の小道は暗く、観光客を狙った強引な客引きもあります。

サランコット展望台周辺は夜明けの観光で混雑し、スリが発生することがあります。

チトワン

ジャングルサファリで象やジープに乗るツアーがありますが、詐欺業者も存在します。

「象に乗れる」と言われて料金を払ったのに、結局散歩だけで終わったケースもあります。

ルンビニ

宗教的にデリケートな場所。僧侶や信者を装った人に寄付を迫られることがあります。

無断撮影もトラブルの原因になります。

トレッキングの安全対策

ネパールの青い空

ネパール最大の魅力はヒマラヤトレッキング。しかし安全リスクは多いです。

ソロ禁止の背景

過去には単独で歩いて行方不明になった旅行者が多数いました。これを受けて現在はソロトレッキングは禁止です。

高山病のリスク

ボクはエベレスト街道で3,000mを超えたところで頭痛と吐き気に襲われました。典型的な高山病の症状です。

酸素や下山で回復しましたが、無理をして登れば命に関わります。

ガイドやポーターの雇用

相場は1日20〜30ドル程度。信頼できる旅行会社で雇うことが重要です。

必須装備

・防寒着(ダウンジャケット)
・登山靴
・浄水器や浄水タブレット
・常備薬
・懐中電灯
・モバイルバッテリー

健康と医療リスク

・狂犬病:犬や猿に噛まれたら即病院へ。ワクチン接種が推奨されます。
・デング熱・日本脳炎:雨季に流行。虫除けと蚊帳が必須。
・旅行者下痢:屋台の生物やカットフルーツは危険。
・停電・断水:食品の衛生状態が悪化する原因に。

医療体制は地方では脆弱。カトマンズのCIWEC ClinicやGrande Hospitalは外国人向けに評判です。

ネパールは医療面に不安を抱える国です。

大きな手術が必要な場合、インドなどにへり搬送の場合もあります。

海外旅行保険でヘリ搬送をカバーできるプランは必須です。

女性旅行者が気をつけたいこと

ネパールの学校の少女

・露出を控えた服装(チュニックやスカーフ)
・夜間は配車アプリを利用
・ホテルは女性レビューを確認
・声をかけられたら「ノー」とはっきり言う
・女性専用ドミトリーを利用する

「どこに泊まっているの?」など不躾な質問をされることがあります。はっきりと断る姿勢が必要です。

体験談|ネパールは停電が多い国

ボクの定宿は旅行者の大分メル地区にあります。

もう何年も前から変わらぬ名物としてネパールの停電があります。

5分で復旧する時もあれば、半日回復しないこともザラです。

このためスマホのモバイルバッテリーは必須です。

渡航前に必ず日本で購入してください。

現地でも手に入りますが粗悪なコピー品が出回っています。

緊急時の対応と連絡先

・警察:100
・救急車:102
・消防:101
・ツーリストポリス(カトマンズ):01-4247041
・在ネパール日本大使館:01-4526680

行動フロー:
1. 安全確保
2. ホテルやガイドに相談
3. 大使館や保険会社に連絡
4. 領収書を保管

安全に旅を楽しむチェックリスト

ナマステ!と元気に挨拶をするなパールの子供たち

・SIMやeSIMを準備
・配車アプリを活用
・財布やスマホを分散
・夜間の一人歩きを避ける
・海外旅行保険に加入
・整腸剤や経口補水液を常備
・懐中電灯やヘッドライト
・虫除けや蚊帳
・トレッキング装備
・パスポートと保険証のコピー
・現金を分散
・モバイルバッテリー

最新の治安トピック

・2025年9月、カトマンズで大規模デモが発生し、観光客が足止めされました。
・2023年ポカラでYeti Airlinesの墜落事故。乗客72人中71人が死亡し、安全性が議論されました。
・2015年の大地震以降、建物の耐震性が課題となり、防災意識が高まっています。

まとめ

ネパールのホテル

ネパールは「危険すぎる国」ではありませんが、スリや詐欺、デモや自然リスクは存在します。

通信手段を確保し、夜間の一人歩きを避け、保険に加入することで安心度は格段に上がります。

不安を正しく理解し、ヒマラヤの魅力を安全に楽しんでください。

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