インド旅行と検索すると「危険」「やばい」「治安悪い」といったネガティブな言葉が並び、不安になる方も多いでしょう。
ボク自身、エスニック雑貨のバイヤーとして20年以上インドを旅してきました。
デリーやバラナシの混沌とした街から、ラジャスタンの砂漠都市ジャイサルメールまで長期滞在し、良いことも悪いことも体験してきました。
昨年は半年間ラジャスタンを巡り、今年もすでに7か月目の旅の途中でこの記事を書いています。
結論から言えば、インドは「危険」と「魅力」が常に表裏一体の国です。
準備と覚悟次第で、旅はかけがえのない経験に変わります。
この記事では、インド旅行を迷う人のために「危険と魅力の実態」「向いていない人の特徴」「準備と注意点」を詳しく解説します。
インド旅行が「危険・やばい」と言われる理由
劣悪な衛生環境とデリー病
街はゴミだらけで、悪臭の漂うエリアも珍しくありません。
ホテルのトイレも安心できず、ゴキブリやネズミが出るのも日常。
女性旅行者は公共トイレのほとんどが使えないと思った方がいいでしょう。
水道水は飲めず、歯磨きのうがいにミネラルウォーターを使う人も多いほど。
多くの人が「デリー病」と呼ばれる発熱や下痢を経験します。
最初の数日は予定を詰め込みすぎず、体を慣らすことが大切です。
食事事情とお腹トラブル(入院体験談)
インド人は三食カレー。
香辛料と油の強い料理が続くため、日本人の胃腸には大きな負担になります。
ボク自身、体調を崩して二度入院しました。
最初の入院では点滴を打たれながら「この国の食事に本当に耐えられるのか」と絶望したほどです。
さらに驚いたのは、入院食までカレーが出てきたこと。
ドクターは「胃に優しいものを」と言いながら、実際に出てきたのはスパイスの効いたカレー。
結局、ケチャップご飯を食べてしのぎました。
屋台の揚げ物や氷、生野菜は特に危険です。
慣れるまでは、屋根と壁のあるレストランで食事をとるのが無難でしょう。
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広大な国ゆえの過酷な移動
インドは国土が広大で、移動に時間も体力も取られます。
列車の遅延やフライトのキャンセルは当たり前。
夜行列車の寝台も治安面から安心はできず、荷物を鎖で固定するのが常識です。
国内線のセキュリティは非常に厳しく、PCやカメラの付属品まで細かく調べられます。
ボクが驚いたのは、紙テープを拘束具扱いされ没収されたこと。
インドでは予想もしない物が規制対象になるのです。
観光客を狙う詐欺・ボッタクリ
観光客向けの詐欺は数えきれません。
ボクはニューデリー駅で「列車は事故で運休だ」と声をかけられ、旅行代理店に連れて行かれそうになりました。
案内された先では、割高なチケットを売りつけられる寸前でした。
リキシャに乗る際も二倍三倍の料金をふっかけられるのは当たり前。
いくら交渉しても現地価格にはなりません。
最初は粘って交渉しましたが、時間と体力を消耗するだけ。
今では配車アプリやホテル手配を使い、必要なコストと割り切っています。
交通事故リスクと野良動物の脅威
インドの交通ルールはほぼ機能していません。
信号はあっても車は止まらず、横断は命がけ。
歩きスマホは絶対に避けてください。
さらに都市部でも牛・犬・猿が徘徊しています。
ボクは一度、サルの群れに取り囲まれたことがありますが、狂犬病のリスクを考えた瞬間、背筋が凍りました。
狂犬病は一度発症すると致死率100%。
絶対に不用意に近づかないことです。
インド旅行に向いていない人の特徴
潔癖症や衛生に敏感な人
屋台の食器には洗剤の泡が残っていたり、出された料理にハエが群がっていたり。
そんな場面は日常茶飯事です。
傍らに牛のフンが落ちているのを見て「このハエはさっきそこから飛んできたのでは…?」と考えてしまう人は、確実にストレスを感じるでしょう。
胃腸が弱い・体調を崩しやすい人
一晩中トイレにこもっても平気なくらいの覚悟がないと厳しい国です。
弱い胃腸を持ってインドに行くと、ほぼ確実に旅が崩壊します。
実際に多くの旅行者が下痢や発熱で予定を断念しています。
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押しに弱く交渉ごとが苦手な人
インド人はとにかく押しが強く、早口の「ヒングリッシュ」で畳みかけてきます。
はっきりNOを言えないと、あっという間に財布が空っぽに。
多少強引なくらいの態度が必要です。
日本の常識を絶対視する人
電車が遅れれば怒り、店員が雑ならクレームを言う。
日本の常識をインドに持ち込むとストレスは倍増します。
「時間通り動かないのが普通」「約束は守られないこともある」と割り切れない人には厳しい国です。
インド旅行に向いている人の特徴
・自己主張が強い人
・少々傷んだ食事でも動じない鋼の胃袋を持つ人
・3食カレーでも平気な人
・相手を論破するまで諦めない粘り強い人
日本では「変わっている」「厄介」と思われるタイプが、インドではむしろ成功する資質です。
インド人はクセが強い相手を尊重し、議論好きな性格を楽しむ傾向があります。
インド人の性格と上手な付き合い方
インド人は人懐っこく、話好きで、議論を楽しみます。
ただし謝罪文化はなく、議論を長引かせるのが得意。
旅行者が押し切られることも珍しくありません。
また、街中で日本語で話しかけてくる人は要注意です。
「大学で日本語を勉強している」などと近づき、親切そうに振る舞いながら高額なツアーや買い物に誘導されることが多いです。
必要なければ笑顔でかわし、早めに立ち去りましょう。
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初心者におすすめのモデル行程と必携アイテム
ゴールデントライアングル
初めての人にはデリー・アグラ・ジャイプールを巡る「ゴールデントライアングル」がおすすめです。
比較的観光インフラが整っており、タージ・マハルやピンクシティなど見どころも多く、初心者でも回りやすいルートです。
旅の安心度を高める持ち物リスト
・整腸剤や解熱剤、経口補水液など常備薬
・アルコールティッシュやウェットシート
・小額紙幣(リキシャやチップ用)
・マスクや除菌ジェル
・予備のSIMカードやモバイルWi-Fi
・ポケットサイズの日本食(カップ麺やインスタント味噌汁)
インド旅行前に知っておきたい準備と注意点
ビザ取得
インド入国には観光ビザが必須です。
公式サイトからのe-Visa申請が一般的で、渡航の3〜4週間前に手続きするのが安心です。
写真データやパスポートコピーのアップロードが必要になるので事前に準備しておきましょう。
旅行保険
医療費は外国人に高額請求されるケースもあります。
実際ボクも入院しましたが、保険がなければ莫大な費用になっていました。
必ず海外旅行保険に加入し、キャッシュレス診療に対応しているプランを選んでください。
通信環境の確保
空港で購入できるSIMカードは便利ですが、窓口が混雑していることも多いです。
事前に日本でeSIMを契約しておくとスムーズに利用できます。
地方では電波が弱いため、モバイルWi-Fiの併用もおすすめです。
行くべきか?やめるべきか?判断チェックリスト
行くべき人
・異文化に興味があり多少の不便を楽しめる
・体調管理と準備に自信がある
・交渉も含めて「全部経験」と思える
・好奇心が強く新しい価値観を求めている
やめておいた方がいい人
・潔癖症や胃腸が弱い
・短期間で予定を詰め込みたい
・交渉やトラブルに弱くストレスを抱えやすい
・旅先でも清潔な環境が絶対条件な人
まとめ|危険と魅力は隣り合わせ、それでもインドはウェルカム
インドは確かに危険が多く、誰にでもおすすめできる国ではありません。
衛生面や治安面でのリスクは現実に存在します。
しかし一方で、そこでしか得られない圧倒的な体験と出会いがあります。
旅に耐えられるかどうかは、体質や性格に大きく左右されます。
「自分には向いていない」と思うなら無理に行く必要はありません。
けれど「それでも挑戦してみたい」と感じるなら、インドは必ず人生観を変えてくれるはずです。
インドはいつだって、誰にでも扉を開いて待っている国なのです。
よくある質問(FAQ)
女性一人旅は可能?
可能ですが、夜間外出や服装に細心の注意が必要です。
屋台料理は安全?
慣れてから少しずつ挑戦を。到着直後はレストランが無難です。
クレジットカードは使える?
都市部のホテルや大型店では利用可。ただし市場や地方では現金必須です。
治安が良い都市は?
デリーやバラナシより、ウダイプールやジャイプールが落ち着いています。
通信環境は?
SIMカードは空港で購入可能。都市部では4Gが使えますが、地方では電波が弱いのでWi-Fi併用が安心です。
両替とATM事情は?
空港や大都市の両替所がおすすめ。ATMはカードが吸い込まれるなどのトラブルもあるので予備のカードを必ず持参してください。
インド鉄道の予約は?
公式サイトIRCTCや旅行代理店経由が一般的。人気路線は早めに予約し、必ずコピーを持ち歩きましょう。
服装の注意点は?
女性は露出を控え、薄手の長袖・スカーフが安心です。男性も短パンよりロングパンツが治安面で無難です。
インドビザはどう取る?
観光ビザはe-Visaのオンライン申請が便利。ただし写真やパスポートデータの要件が細かいので注意してください。
旅行保険は必要?
必須です。現地で入院すると数十万円以上かかる場合もあり、保険なしで行くのは無謀です。
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