インド治安ガイド|旅行者必読の安全対策と都市別リスク

「インドは治安が悪いって本当?」

そう思って検索される方は多いと思います。

ニュースや体験談の中には、スリや詐欺、強引な客引きの話も多く、不安になるのは自然なことです。

しかし実際のインドは「危険な国」ではなく、準備次第で安全に旅を楽しめる国です。

私自身20年以上インドを訪れていますが、危険を感じたことはありません。

大切なのは「リスクを知り、対策をしておくこと」が一番の安全策です。

◆この記事でわかること
・インド全体の治安傾向
・旅行者が遭遇しやすいトラブルと回避方法
・デリー・アグラ・バラナシなど都市別の治安事情
・女性旅行者が気をつけたいポイント
・実際に体験した詐欺未遂や入院エピソード
・安心して旅をするためのチェックリスト

読み終えたときには「インドの治安は怖いだけじゃない。準備さえすれば大丈夫」と思えるはずです。

 

インド全体の治安傾向

インド・デリーのメインバザール 夜の街並みと治安の雰囲気

都市部と地方の違い

都市部は人や交通量が多く、スリや詐欺に遭う可能性があります。

一方で、地方の小都市や村ではのんびりとした雰囲気で、むしろ安心して歩ける場面も少なくありません。

つまり「インド全土が危険」というより「場所や状況によってリスクが偏る」と考えた方が現実に近いのです。

昼と夜で変わる街の雰囲気

昼間は人通りが多く活気があり、多少強引な客引きがあっても大きな危険は少ないです。

しかし夜になると街灯が少なく、人通りも減るため、特に女性の一人歩きは避けた方が安全です。

旅行者が狙われやすい場所

旅行者が最も狙われやすいのは、空港・駅・有名観光地の周辺です。

到着直後の空港や人混みの駅前は、疲れて注意が散漫になりやすく、詐欺や客引きが集中しています。

強引に感じることもありますが、多くは商売目的です。

ただし中には巧妙な手口もあるため、冷静な対応が欠かせません。

結論として、インドは「どこも危険」という国ではありません。

危険が集まりやすい場所や時間帯を知り、注意することで、安心して旅を楽しむことができるのです。

犯罪統計と安全レベル

デリーの路上で眠るリキシャマン インドの治安と生活風景

外務省の危険情報

インドの治安については「とにかく危ない」という印象を持たれがちですが、数字や公式データを見てみると状況はもう少し複雑です。

外務省の「インド危険・スポット・広域情報」によると、デリーやムンバイなどの大都市を含む多くの地域は「レベル1:十分注意」に指定されています。

これは「警戒は必要だが渡航を中止するほどではない」という意味です。

一方、ジャンム・カシミール準州など一部の地域はテロや武力衝突が発生しており、「レベル3〜4(渡航中止・退避勧告)」となっています。

デリー首都圏の特徴

デリー首都圏について外務省は「インド国内で最も一般犯罪発生率が高い」としています。

具体的には、スリ・ひったくり・強盗などの財産犯罪が多く、観光客も被害に遭いやすいとされています。

さらに性犯罪関連の事件発生率も高く、女性旅行者にとっては特に注意が必要です。

国際比較(UNODC統計)

国際的な比較では、国連薬物犯罪事務所(UNODC)の統計が参考になります。

そこには「殺人」や「暴力犯罪・性犯罪」の件数が登録されています。

インドの人口規模を考えると、殺人率はアフリカや中南米諸国ほど突出して高いわけではありません。

しかし、軽犯罪や性犯罪の件数はアジア諸国の中では比較的多い水準にあります。

まとめると、インドは「旅行者が日常的に命を脅かされる国」ではありません。

ただし、大都市や観光地周辺では財布やスマホを狙われたり、女性に対する性犯罪のリスクがあるのも事実です。

数字を知っておくことで、過度に不安を感じるのではなく、冷静に対策を立てることができるでしょう。

旅行者が遭遇しやすいトラブル事例

デリーの裏路地と青空 インド旅行者が歩くエリアの様子

インド旅行で多いトラブルは、大きく分けて「空港・駅」「観光地」「街歩きや移動中」に分類できます。

どれも命に関わるほどの危険ではありませんが、旅の印象を左右する出来事ばかりです。

空港・駅でのトラブル

到着直後の空港や駅は、旅行者が最も狙われやすい場所です。

デリー空港では「SIMカードが売り切れたので高額プランしかない」と勧められるケースがあります。

ニューデリー駅周辺では「その列車は運休になった」と声をかけられ、別のチケットを買わされそうになる詐欺もよくあります。

対策: 声をかけてくる人について行かないこと。

空港や駅には必ず公式カウンターがあります。

落ち着いて公式窓口を利用することが、最も確実な防御策です。

観光地でのトラブル

有名観光地では、物売りや偽ガイドに注意が必要です。

アグラのタージマハル前では「公式ガイド」を名乗る無許可ガイドが観光客に声をかけてきます。

バラナシでは、ガンジス川のボート勧誘がしつこく、高額を請求されボートから降りられないことがあります。

プシュカルでは「祈りの花」を渡されて代金を要求される「花詐欺」が有名です。

対策:最初からきっぱり断るか、料金を事前に確認することでトラブルを避けられます。

街歩き・移動中のトラブル

街歩きで日常的に多いのは、スリやひったくりです。

人混みでスマホや財布をズボンのポケットに入れていると、気づかないうちに抜き取られることがあります。

また、リキシャやタクシーでは料金をふっかけられることもよくあります。

対策:バッグは必ず前がけ。貴重品を分散して持つこと。

配車アプリ(UberやOla)を利用すれば料金が事前に表示されるため、トラブルは大幅に減ります。

水・食事・健康リスク

デリーのメインバザールで売られるスイーツ ジャレビの屋台

インド旅行で最も多い体調トラブルは、いわゆる「デリーベリー(Delhi Belly)」=旅行者下痢です。

短期旅行者でも数日のうちに体調を崩す方は少なくありません。

原因の多くは水や食事にあります。

水道水と飲み物の注意点

インドの水道水は旅行者にとって安全ではありません。

レストランやホテルでも生水は避けるのが基本です。

ペットボトルの水を買うときは、キャップの封が開いていないか確認することが大切。

露店で売られる氷やジュースは水道水を使っていることが多いため、注意が必要です。

屋台やレストランでの衛生リスク

インドの屋台料理は魅力的ですが、衛生状態にはばらつきがあります。

加熱が不十分な料理や、長時間外に置かれているものは避けましょう。

比較的安全なのは火を通したばかりのカレーや揚げ物です。

逆に、生野菜のサラダやカットフルーツはリスクが高いので控えた方が無難です。

旅行者下痢を防ぐ方法

・手洗いやアルコール消毒を徹底する
・到着直後は刺激の少ない料理を選ぶ
・長距離移動の日は消化にやさしい食事を取る
・整腸剤や経口補水液を常備する

私自身もインドで入院した経験がありますが、原因はやはり食べ物と水でした。

その後は「火を通した料理」「信頼できる店」を意識して選ぶようになり、大きなトラブルは減りました。

口に入れるものについては細心の注意を払う。

インドの旅を快適に続けるための最重要事項です。

都市別の治安と注意点

デリーのマーケットの雑踏 人混みと治安の様子

インドは地域ごとに治安の雰囲気が大きく異なります。

ここでは旅行者が訪れることの多い主要都市について、注意点を整理します。

デリーの治安

首都デリーは犯罪件数が多い都市のひとつです。

空港から市内への移動ではタクシーやリキシャでの料金トラブルがよくあります。

ニューデリー駅周辺では旅行者を狙った詐欺や強引な客引きが目立ちます。

夜間はスリや性犯罪のリスクが高まるため、特に女性の一人歩きは避けましょう。

移動にはUberやOlaを使うのが安心です。

アグラの治安

タージマハルで有名なアグラでは、観光客を狙ったトラブルが多いです。

「公式ガイド」を名乗る無許可ガイドや強引な土産物売りに注意しましょう。

写真撮影を頼んだ後に高額なチップを請求されるケースもあります。

公式ガイドはチケット売り場で手配するのが安全です。

バラナシの治安

バラナシのガンジス川周辺ではボート勧誘がしつこく、料金を事前に決めないと高額請求されることがあります。

ガート周辺では観光客相手にお布施を求められるケースもあります。

料金は必ず最初に確認し、不要なら断りましょう。

プシュカルの治安

プシュカルでは花詐欺が有名です。

祈りの花を無理やり渡され、後から「寄付」として代金を請求されるケースがあります。

湖畔での写真撮影は宗教的にデリケートなので、無許可での写真撮影は控えましょう。

ジャイサルメールの治安

砂漠の街ジャイサルメールではキャメルサファリ関連のトラブルが目立ちます。

料金や内容を事前に確認しないと、追加料金を請求される場合があります。

旧市街は夜になると暗く人通りも減るため、観光は日中に済ませるのが安心です。

ゴアの治安

ビーチリゾートのゴアでは、置き引きやナイトクラブ周辺のドラッグ勧誘に注意が必要です。

飲み物への異物混入のリスクもあり、夜遊びの際は特に気をつけましょう。

コルカタの治安

コルカタは文化都市として知られていますが、公共交通機関の混雑時にスリが発生しやすいです。

ニュー・マーケット周辺では観光客狙いのトラブルが多いため、財布やスマホの管理を徹底してください。

ケララの治安

比較的穏やかで安全とされますが、ハウスボートの契約内容トラブルやビーチでの盗難に注意しましょう。

夜間の単独行動は避けるのが無難です。

グジャラートの治安

経済発展が著しいグジャラートでも都市部ではスリが発生します。

宗教行事やデモには近づかないようにしてください。

タイの治安について知りたい方は下記の記事で。

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カオサンロードとトゥクトゥク

女性旅行者が気をつけたいこと

サリーを着たインド女性たち 旅行者が目にする伝統衣装

インドを訪れる女性旅行者にとって特有のリスクはありますが、基本的な注意を守れば過度に恐れる必要はありません。

服装と立ち居振る舞い

露出の多い服装は避けた方が安心です。

長袖のシャツやゆったりしたパンツ、スカーフを身につければ現地に馴染みやすいです。

夜間移動と声かけ対応

夜間の女性の一人歩きは絶対に避けてください。

どうしても移動が必要な場合はUberやOlaを利用しましょう。

声をかけられた場合は曖昧にせず、はっきり断る態度を取ることが大切です。

安全なホテル選び

宿泊先は「女性旅行者のレビュー」があるかを確認しましょう。

立地は裏通りよりも大通り沿いや駅近が望ましいです。

深夜チェックインの際は事前に連絡しておくと安心です。

インドのホテルの選び方についてはこちらの記事で。

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デリーのメインバザールの夕暮れ時

体験談|インドで実際に遭遇したトラブル

ジャイサルメール城塞の壁にかかるヒンドゥー神像 インドの宗教文化

ニューデリー駅での詐欺未遂

ニューデリー駅で「その列車は運休になった」と声をかけられ、違うチケット買い求めるように誘導されました。

興味本位でついて行ってみれば、公式カウンターの横に粗末な椅子を置いただけの仕掛け。

冷静になれば見破れますが、列車の時間が迫っていたり、気が動転していると引っ掛かってしまうのでしょう。

慌てず公式窓口を利用することが一番の防御策です。

デリーのスリ

乗り合いの電動リキシャでのことです。

向かいの席に大きな荷物を抱え、幼い子供を連れた女性が座りました。

ボクは子どもに気を取られていて、大きな荷物をグイグイ押し付けてくる女性には注意を向けませんでした。

降りてみればバッグのチャックが開き現金3万ルピー(約5万円)が入った財布がなくなっていました。

貴重品が入ったバッグから注意をそらさないようにしてください。

プシュカルで有名な花詐欺

湖の周りに広がるガート付近では必ず花詐欺に声をかけられます。

無料だと言って花を渡し、後に寄付を求めて来るパターンです。

ボクは宗教が違うと言ってきっぱり断りました。

インドでの入院体験

食べ物と水が原因で体調を崩し、入院した経験があります。

海外旅行保険に加入していたため、病院の手配や通訳、費用もカバーされました。

旅行保険の有無で安心度は大きく変わると痛感しました。

入院時の詳細についてはこちらの記事で。

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インドの病院食として出されたカレー

緊急時の対応と連絡先

デリーのメインバザール 夜の雑踏と旅行者の注意点

緊急番号

・警察:100
・救急車:102
・消防:101
・女性専用ホットライン:181

大使館・総領事館

在インド日本大使館や各地の総領事館に連絡できます。

外務省「たびレジ」に登録しておけば、安全情報がメールで届きます。

行動フロー

1. 安全を確保する
2. ホテルや現地スタッフに相談する
3. 大使館・警察・保険会社に連絡する
4. 領収書や診断書を保管する

インドは何が起こるか予測不能な国です。

保険会社など含め緊急の連絡先は予め確保し、スマホに登録しておいてください。

安全に旅を楽しむための最終チェックリスト

ジャイサルメールのバスから手を振る人々 インドの人々の生活風景

・SIMやeSIMを準備する
・UberやOlaを利用する
・財布やスマホは分散して持つ
・夜間の一人歩きを避ける
・海外旅行保険に加入する
・整腸剤や経口補水液を常備する

特にスマホの通信回線は最重要ポイント。

常にネットに接続できれば、地図アプリで迷うことがありません。

料金交渉が不要な配車アプリも使えます。

また、緊急時の連絡手段にもなります。

安定した通信回線を必ず確保してください。

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インドのメインバザールと牛

最新の治安トピック

インドの治安は状況によって変化します。

出発前に必ず最新の情報を確認しましょう。

外務省「海外安全情報」や「たびレジ」などのサイトを参考にしてください。

インド渡航前は最新の情報を必ずチェックしましょう。

まとめ

バラナシのガンジス川の景色 インドを代表する観光スポット

インドは「治安が悪い国」と思われがちですが、実際に旅行者が遭遇しやすいのはスリや詐欺といった身近なトラブルです。

リスクを知り、準備をすることで多くの問題は避けられます。

通信手段を確保し、夜の一人歩きを避けるだけでも安心感は大きく変わります。

インドは「危険か安全か」で判断する国ではありません。

準備次第で安全に楽しめる国です。

不安を正しく理解し、対策を講じながらその魅力を存分に味わってください。

皆さんのインド旅が安全で楽しい旅でありますように。

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