海外仕入れ旅28年のプロが伝授!観光客でもできる買い物のコツ

「海外で雑貨を買い付ける仕事って楽しそう!」

そんなふうに思ったあなた。

これ店舗で接客中にも良く言われましたが、ちょっと待ってください。

言われた方はカウンターの内側で静かに拳を握っているのを知っていましたか?

本当のバイヤー旅は、そう甘くないのです。

甘くないどころか辛い。

だからこそ面白いんですけどね。

この記事では、エスニック雑貨バイヤーを28年間やっている筆者であるボク「ガネーシャの親方」が、海外仕入れのリアルを語ります。

アジア好き・雑貨好き・バイヤー志望の方は必読!

 

カオスな市場に突撃せよ

エジプトのハンハリーリ市場

そこに何があるのか分からないのがアジアの市場。

例えばインドのカオスなバザール。

圧倒的な熱量で行き交う人と物。

異国の香り、牛が闊歩する道路、スパイスの匂い…

目の前に広がるのは現実離れした異世界そのもの。

リキシャを飛ばして市場に向かい、体力の続く限り限り歩き回ります。

それが例え、体感気温が50度を超えるような過酷な日でも。

インドの大きなお天道さまにジリジリと照らされ、汗をかいて歩き回るのです。

お宝はどこに眠っているのか誰にもわかりません。

一瞬も気を抜くことなく歩き続けるのが雑貨屋の仕入れ旅。

そう「歩くこと」こそが仕入れの基本なのです。

値段交渉は心理戦!ノリと間合いで勝つテクニック

インド刺繍リボンの店

「これはアンティーク!100年モノだよ!」

「えーと。さっき作業場の裏で彫ってたんじゃないの?」

そんな冗談交じりの真剣勝負が、海外仕入れの醍醐味。

言葉よりそこでやり取りされるときの空気感。

表情と間合いが大事なのです。

「見ていたのか。まぁいい。座れ。日本人。チャイでも飲むか?」

そんな感じで通いつめ、3日目ぐらいで本当の値段が出たりするのはインドの日常。

のんびりと構えた風でも視線を常に周りに走らせ、スキがあればすかさず突っ込む。

時には黙り込みじっとその表情を観察する。

決して相手のペースに巻き込まれないのが、良い仕入れをするコツなのです。

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バイヤーの食事は“運試し”!? 美味と腹痛は紙一重

インドの路上の屋台

ガイドブックに載っているような有名な店ではなく、ローカルな現地の店のご飯は魅力的。

でも、当たるとツラい。

当たるのか当たらないのか?は運試しみたいなものです。

実際にボクは、インドで胃腸が崩壊し2度入院しています。

 

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インドの病室

 

とはいえ、地元の職人と一緒に食べる食事には、味以上の価値があります。

現場では聞くことの出来ないちょっとしたストーリーや、職人が見せるリラックスした表情。

「じゃぁこんなのはどうだ?」などとビールを口に運びながら職人から提案される商品。

仕入れは「人と人との縁」で出来ていると実感する瞬間です。

トラブルは日常茶飯事!予定通りいかないから面白い

インドの陽気なサドゥー達

「今日の午後にサンプルが出来るよ!」

行ってみたらまだ布もカットされていない……なんてことは日常茶飯事。

納期なんておまじないみたいな物なので、何の意味もありません。

時間の流れ方や文化の違い。

日本の時間軸を持ち込むのはトラブルの元。

魔法のように物がなくなる。

現金をすられる。

ネットがつながらない。

むしろ「予定通り」の日常を送る方が奇跡なのです。

でも、その不便の中に、学びや出会いがギューッと詰まってる。

だからどんなに苦労をしてもバイヤーという仕事がやめられないのです。

印象的だった「職人とのやり取り」エピソード

ガネーシャサボサンダルの甲のメッシュ部分を編む職人

当店のヒット商品にガネーシャ・サボサンダルがあります。

恐らく、エスニック雑貨と言うものが日本に持ち込まれて以来の最大のヒットサンダル。

日本で一番売れているサンダルでしょう。

その甲のメッシュ部分を編んでいるのはカンボジアの名も無い農村。

はじめはどんなに頼み込んでも首を縦に振ることはありませんでした。

その昔とあるバイヤーに騙され、編み上がった素材をトラック1台分燃やしたことがあったそうです。

分かった。そしたら一度顔を見せに行くから話を聞いてくれ。

そこから始まった付き合い。

ある日お客さんからいただいた感想を印刷し村に届けたことがあります。

現場の編み手を束ねるマオ婆ちゃん。

ここまでの道のりを話しているうちにいつしか二人して涙が溢れ、手を握りしめていました。

エスニックサンダルを作る職人

編み手の職人たちは、現金を得るすべを持ちません。

蒸し暑い東南アジアの空の下、彼女たちは文字通り額に汗を浮かべ懸命に編み込みを続けています。

「この材料がサンダルになり、日本でそんなに人気があるなんてあたしゃなんだか誇らしいよ」

ガネーシャサボサンダルを手にして目を細める職人のおばちゃん

手を休め額の汗を拭いながら見せてくれた職人の笑顔を忘れることはありません。

雑貨は「誰から仕入れるかで価値が変わる」ボクはそう考えています。

バイヤーみたいな買い物がしたい人へ

チャトチャックマーケット

実は、誰でも少しのコツで“プロっぽい買い物”ができるんです!

市場には早めに行こう

最低3店舗は比較しよう

そのモノに物語があるか?を意識しよう

日本でも海外でも、ちょっと目線を変えるだけで「買い物」はずっと面白くなります。

特に「モノに込められた想いやストーリー」ここにフォーカスすることが一番大事なのは言うまでもありません。

バイヤーのような買い物をしたいなら「物とお金の交換」だけではなく、その背後にかくてれている売り手や作り手の想いを探り当てるのです。

Q&A】バイヤーになりたい人からよくある質問集

ネパールの雑貨屋

Q. バイヤーって資格いるの?

A. 特に不要。パスポートひとつで誰でもなれます。

ただし最低限の英語力とコミュ力。そして何よりも「雑貨に対する愛」は必須!

Q. 初心者におすすめの国は?

A. 圧倒的にタイ。ピカピカの一年生バイヤーがデビューするのがタイ。

インドは濃すぎるので上級者向け(笑)

Q. 最初の仕入れ資金は?

A. 10万円でもOK。小ロットから始められます。

Q. ひとり旅でも大丈夫?

A. 全然OK!むしろ1人の方が自由に動け「人を頼る癖」がつかない。複数人で行くべからず。

Q. トラブルが怖い…

A. 怖い?トラブルを経験してナンボなのが雑貨バイヤー。その先に出会いと成長がある!多分(笑)

Q. オンラインでも仕入れできる?

A. この時代なので簡単にできます。ただしそこに大切な商品のストーリーはありません。

雑貨バイヤーは現場に足を運び「自分の目で見てこそ」伝えられることがあります。

オンラインの仕入れでは、決して触れることが出来ない世界がそこにあるのです。

Q. 親方はなぜバイヤーを続けるの?

A. この仕事が本当に好きだから。

色のない国日本に「日々の暮らしを彩るモノ」「身につけることでちょっとテンションが上がるモノ」を届けたいから!

最後に。旅は冒険、仕入れは宝探し

ブロックプリントを染める男

海外仕入れは、決して楽な仕事ではありません。

でも、毎日が発見と出会いにあふれていて「世界って面白い!」を全身で感じられる仕事です。

次に海外を訪れるときは、本記事を参考にぜひ「バイヤー目線」で街を歩いてみてください。

見える景色が、きっと変わります。

そしてその国の持つ文化に敬意を払い、現地の人と同じ目線で街や物を見る努力を。

ボクらが扱うハンディクラフトは誰かが手を動かして作り出したもの。

結局最後は人と人の話なのです。

そこにお金と物が介在するだけで、あなたが手に入れたものは作り手の想いそのもの。

それは何物にも代えがたい宝物でしょう。

そして。

そう言う商品が買い手のココロを動かし売れていくのです。

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