東南アジアの少数山岳民族「モン族」の起源
モン族と呼ばれる少数山岳民族のルーツは中国南部にありその起源は300年程前に遡ります。
中国の同化政策に抵抗し結果モン族の反乱(1795-1806)に繋がり迫害を受け追われるようにして中国を南下しました。
中国の南には肥沃な土地が広がるメコンデルタ地帯があります。
南下を続けた人々はタイの山岳部をはじめベトナムやラオスに辿り着きそこで新しいコミュニティが生まれることになります。
各国の土地には先住の民族がいたため山岳地帯に住み着く他になかったという節が一般的です。
もうひとつの説として当時は芥子(ケシ)が物々交換の対象となっており貨幣と同等の価値を持っていたと言う社会的なバックグランドを考えなければなりません。
手に入れることが難しい芥子(ケシ)は貴重な品として高額で取引された事は容易に想像がつき芥子(ケシ)を作るのに適した土地が山岳地帯であったことからそこに住み着いたと言う節もあります。
代表される4つのモン族グループ
花モン族
花モン族と呼ばれるグループは赤やピンクなどの刺繍が特徴でチロリアンテープなどを上手に使い華やかな衣装が特徴です。
日本のエスニックファッションに代表されるモン族系の洋服はそのほとんどが花モン族と呼ばれるグループの生地を使用しています。
白モン族
白モン族はその名の通り白を基調とした衣装をまとっており女性達はその頭にカラフルなスカーフを巻きつけて個性を出しています。
手の混んだ刺繍スカートを履く花モン族のカラフルな衣装とは異なり刺繍を施さないスカートを身につけています。
黒モン族
黒モン族の衣装は藍染が特徴です。
深い藍色のろうけつ染めは日本の雑貨店などでも目にする機会が多いかも知れません。
藍染には虫除けの効果もあり蝋(ロウ)を使って細かなデザインを施すことからタイでは「キャンドル・スッテッチ」とも呼ばれています。
赤モン族
目の覚めるような鮮やかな赤い女性の衣装が特徴です。
赤モン族は他のモン族同様手先が器用な女性が多くその多くの民族衣装は自分たちの手で刺繍が施されています。
モン族の刺繍古布
モン族の女性は6〜7歳位になると母親や祖母から刺繍を習い始めます。
大体13〜14歳で刺繍を施す女性として一人前の腕に育ち15〜16歳の年頃になると自分で作った伝統衣装を身に着けて村の祭り事に参加します。
モン族には「刺繍の上手な娘は良き妻になる」と言う考え方が根強くあり美しく刺繍が施された衣装を来た娘はたちまち人気者となります。
モン族と言えばスカートが特徴的ですがその制作の工程は気が遠くなるほどの時間がかかっています。
モン族のスカート作りは綿や麻を育てるところから始まります。
糸を紡ぎ織物にしてやっと素材が出来上がります。
織られた布は藍で染められ刺繍を施され細かく畳んで縫い留め板に挟んで200本ものプリーツが作られます。
日本のエスニック雑貨店などで販売されているモン族の刺繍が施された刺繍古布のスカートにもその面影が残っていますがモン族の人達は洗濯をする度にこのプリーツを折り直します。
モン族の伝統衣装が持つ意味
ここまで書いて来たようにモン族の刺繍古布には親から子へ。
またはお婆ちゃんから孫へと言った世代を超える長い長い物語がその美しい刺繍古布に込められています。
モン族は元々文字を持たない民族なのでその文化や伝統を刺繍に込めて次の世代へと伝えて来ました。
そこには自然界の全てに精霊が宿ると考えるアニミズムが強く生きており自然への畏敬の念や祖先への尊敬や家族の健康や幸福を願うモン族の人々の祈りにも似た想いが込められています。
華やかで美しい刺繍が施されたモン族の衣装はその様な信仰を表現した少数山岳民族ならではの信仰や伝統などの文化を表しています。
タイの山岳民族と言われるモン族は別名「針と糸の民」と呼ばれるほど手先が器用で美しい刺繍を紡ぎ出します。カラフルで細やかなモン族特有の刺繍古布を使ったアイテムは今回ご紹介するモン族財布を始めバッグやスカートなど沢山の種類があります。[…]