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ガンジス川のマニカルニカーガートで人が灰になるのを見ていた

インドは人を惹き付けて止まない国だ。

その中でもガンジス川が流れるバラナシは特別な場所になる。

日本では隠されて見えない人が死んで灰になっていく様を目の前で見ることが出来る。

インドを旅する者はバラナシを訪れガンジス川に登る朝日を拝みマニカルニカーガートで死と向き合わなければならない。

マルカニニカーガート

マニカルニカーガートで火葬するための薪

この秤の直ぐ先にバラナシで有名な火葬場「マニカルニカーガート」があり一日中いくつもの火柱が立ち上っている。

人が焼かれている煙でライトがもやっているのが分かるかな?

3,000年もの昔から24時間絶やす事なく燃やされ続ける炎。

一日に焼く遺体の数は200体程。

ひとつの遺体を焼くには120キロ〜150キロの薪を使い三時間ほどで灰になりその遺灰は聖なる川ガンジスへ流される。

バラナシのマニカルニカーガート

マニカルニカーガートにはむき出しの死がいくつも転がっている。

人が目の前で焼かれている最中も布に包まれて竹で作られた担架に乗せられた遺体が次々と運び込まれる。

燃え盛る炎を長い竹で無造作に叩き遺体を細かくするオトコ。

炎に包まれた真っ黒な頭蓋骨。

圧倒的な死の瞬間に気を取られふとガンジスに視線を戻すといつの間にか三十人ほどの白装束の集団がボート一杯に立ち並びガートに向かって静かに祈りを捧げていた。

その光景は幻のようだった。

いや。

音もなく身じろぎひとつしない彼らは本当に幻だったのかもしれないと今でも思う。

ガンジス川で沐浴する男達

ヒンドゥー教徒は肉体が焼かれ魂が解放された時初めて自由になりその灰をガンジス川に流すことで永遠の命が得られると信じられている。

ガンジス川にあるマニカルニカーガートで焼かれる事はヒンドゥー教徒最大の願いだそうだ。

ガンジス川で喪に服す男達

実際にガートに足を踏み入れると当たり前の事だが目の前に死がある。

自分も火傷してしまいそうなほど間近で人が焼けていく様を見ることが出来る。

死というものを特別視する事なく当たり前の事として捉えることが難しい日本人にはいささかショッキングな光景ではあるが不思議と不快感はない。

遺体が炎に包まれていく横で親族は遺体と一緒にセルフィーで写真を撮っていたりする。

インド人の死はとてもカジュアルな雰囲気で好感さえもてる。

魂が自由になって本当に良かったというような捉え方なのかもしれない。

初めてその場に立ち遺体に火が放たれ人が灰になる様をこの目で見た時。

ボクは感情が高ぶり涙が次々に溢れ自然と手を合わさずにはいられなかった。

しかし遺体の側に佇む親族達はそんなボクを怪訝な目で見つめていた。

「なぜ涙を流すんだジャパニ?魂が自由になる瞬間なんだぞ。そんな幸せな事はないじゃないか」

言葉を交わさずともそう言われた気がして少しだけボクの中で何かが変わった。

ガンジス川で導師の元へ向かう男

その時感じた事はまだ上手く言葉に出来ない。

しかし生きているんだから死ぬのは当たり前だと言う「当たり前の事を当たり前として受け止められる」ようにぼんやりとした心の曇りが少しだけ晴れたのかもしれな

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