インド・バラナシのマニカルニカーガート|火葬場を訪れる前に知るべきこと

インド・バラナシは世界中の旅人を惹きつけてやまない街。

その中でもガンジス川沿いのマニカルニカーガートは、死と生が交錯する特別な場所です。

三千年以上もの間、炎が絶えることなく燃え続ける火葬場は、訪れる人に強烈な印象を残します。

本記事では、バラナシを訪れる旅行者に向けて、マニカルニカーガートの歴史や現場の様子、訪問時の注意点を体験談を交えながら紹介します。

ガートを訪れる前にぜひ参考にしてください。

 

マニカルニカーガートとは

バラナシのマニカルニカーガートで行われる火葬場の様子

マニカルニカーガートは、バラナシ最大の火葬場。

ヒンドゥー教徒にとって「ここで火葬され、灰をガンジス川に流されること」が最高の幸せとされます。

死後、魂は解放され、輪廻から抜け出せると信じられているため、インド全土から人々が訪れるのです。

一日に火葬される遺体は200体前後。

ひとつの遺体を灰にするには約120〜150キロもの薪を使い、3時間ほど燃やし続けます。

その後、遺灰は聖なるガンジス川へと流されます。

3000年もの昔から、昼夜を問わず炎が燃え続けているとされ、まさに聖地の象徴といえる場所です。

現場で目にする光景

ガンジス川の岸辺で祈りを捧げる喪服姿の男性たち

ガートに足を踏み入れると、そこには日本では想像できない現実が広がります。

布に包まれた遺体が竹の担架に乗せられ、次々と運ばれてくる。

炎に包まれた遺体は、長い竹で叩かれて細かくされ、やがて灰へと変わっていきます。

黒く焼け焦げた頭蓋骨、炎に照らされる親族の表情。

ふとガンジスに目をやると、白装束の人々がボートの上から静かに祈りを捧げている――その光景は幻のようであり、同時に圧倒的なリアリティを帯びています。

初めてその場に立ったとき、ボクは涙が溢れ自然と手を合わせました。

しかし親族たちはそんなボクを不思議そうに見つめていました。

「なぜ泣くんだ? 魂が自由になる瞬間なのに」――言葉を交わさずとも、そう語りかけられた気がしたのです。

インド人の死生観

ガンジス川近くの路地で経典を読むサドゥー僧

ヒンドゥー教徒にとって死は終わりではなく、魂が解放される瞬間。

だからこそ、火葬場で涙を流すことは少なく、むしろ穏やかな表情で故人を見送る姿が見られます。

親族が遺体のそばでセルフィーを撮ることさえあるほど、死は「自然な出来事」として受け入れられているのです。

死を悲しむというより「魂が自由になった」と喜ぶ感覚は、日本人の価値観とは大きく異なります。

マニカルニカーガートを訪れると、死を特別視せず「当たり前のこと」として受け止めるインドの死生観に触れることができます。

旅行者が注意すべきこと

バラナシから望む広大なガンジス川の風景

マニカルニカーガートは宗教的に非常に重要な聖地です。訪れる際には以下の点に注意してください。

・写真撮影は禁止
遺族の心情に配慮し、火葬の様子を撮ることは厳禁です。周囲の景色や雰囲気を撮影する場合も、必ず現地のガイドに確認しましょう。

・ガイドに注意
ガート周辺では「公式ガイド」と称する人々が話しかけてきますが、法外な料金を請求されるケースも。必要であれば信頼できる旅行会社を通じて案内を依頼するのがおすすめです。

・観光気分を抑える
ここは観光地であると同時に、故人と向き合う宗教的儀式の場。大声で話したり、軽率な行動を取らないことがマナーです。

マニカルニカーガートへの行き方

迷路のように入り組んだバラナシ旧市街の路地

バラナシ駅や空港からオートリキシャやタクシーで旧市街へ向かい、ガンジス川沿いを歩くとガートにたどり着きます。

旧市街の路地は迷路のようなので、宿から徒歩でガイドに案内してもらうのが安心です。

夜は治安が不安定になるため、昼間の訪問をおすすめします。

インドの治安に不安がある方は下記の記事で。

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訪問を通して感じること

ガンジス川で水遊びをする子供たちの姿

マニカルニカーガートは観光スポットであると同時に、死を直視する場所です。

目の前で燃え盛る炎を見たとき、命の重さと同時に「死は特別なことではなく、誰もが迎える自然なこと」だと気づかされます。

バラナシを訪れる旅行者にとって、この体験は単なる観光以上の意味を持つでしょう。

死と生を分け隔てなく受け入れるインドの価値観に触れることは、旅の大きな学びとなるはずです。

まとめ

ガンジス川のほとりで儀式を行う三人の男性

マニカルニカーガートは、インド・バラナシを訪れるなら一度は足を運んでほしい場所です。

死と生が日常の中に溶け込む光景は、強烈でありながらも不思議な安らぎを与えてくれます。

ただし、観光という気持ちだけで訪れるのではなく、聖地に敬意を払い、静かにその場に立つことが大切です。

準備を整え、マナーを守りながら、この特別な体験を心に刻んでください。

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