エスニック雑貨バイヤー直伝!市場を歩くリアルな仕入れ旅

バンコクを拠点にアジア各地の市場を巡る。

エスニック雑貨屋のリアルな仕入れ旅。

観光地には目もくれず、面白そうなモノが眠っていそうな市場を求めて移動を続ける日々。

宿も食事も現地調達、情報源は旅人の口コミだけ。

そんな旅をしていると、ガイドブックには載っていない街の匂いや人の気配が見えてくる。

この記録が、旅人やバックパッカー、エスニック雑貨好きのあなたの参考になればうれしい。

 

エスニック雑貨バイヤーの旅の仕方

インド・デリーの路地裏で見上げた青空

 

知らない街に着いたら、まずは人で賑わう繁華街や市場を目指す。

そして街を歩いている外国人に声をかけ、良い宿や美味しい食事処を聞いてみる。

「私が泊まっているのは一泊いくら、近くの飯屋はこんな店」という情報をシェアしてくれることが多い。

宿と食事を確保し、冷えたビールにありつければ、どんな街でも初日はもう十分だ。

いきなり現地の人に聞くことはしない。

初めて訪れた旅人と地元の人では感覚が違う。

運悪く狡猾な人に騙されると、その街自体を嫌いになってしまうからだ。

現地の人からディープな情報を聞き出すのは、街の様子に慣れてからで十分。

ガイドブックも持ち歩かない。道端で広げれば、詐欺師やスリが寄ってくる。

今ならスマホのアプリかもしれないが、それでもその街を歩いている旅人の情報の方が価値がある

インドの市場で掘り出し物を探す

インド。デリーのキナリバザールの喧騒

市場の空気と歩き方

インドの市場は、他の国とは空気がまるで違う。

朝一番からスパイスの香りが立ち込め、牛が歩き、人の声とクラクションが混ざり合う。

最初はあまりの雑踏に圧倒されるが、何日も通ううちに少しずつ市場のリズムが分かってくる。

仕入れの基本は、まず複数の店で同じ商品を見比べること。

インドでは値段があってないようなものだから、相場を知らずに買うと確実に高くつく。

布やアクセサリーを見ていると、必ずといっていいほど強引な客引きが声をかけてくる。

そんな時は笑顔でかわしつつ、何度も足を運んで信頼できる店主を見極める。

掘り出し物との出会い

一度、デリー郊外の市場で見つけた刺繍布の話をしよう。

店先では埃をかぶって山積みにされていたが、よく見るとラジャスタン地方の古いハンドメイドの布だった。

値段を聞くと最初は法外な額を言われた。

だが何度か通って顔を覚えられると、ある日「特別に奥から見せてやる」と裏から束を出してきた。

そこには鮮やかな色糸で緻密に縫い込まれた一点物が隠されていた。

値切り交渉の駆け引き

値切り交渉はインド市場の醍醐味だ。

こちらが真剣に選んでいると分かると、相手も本気の値段を出してくる。

時には「そんな安値では妻に怒られる」と冗談を言いながら、少しずつ価格が下がっていく。

笑いを交えたやりとりは単なる取引以上の楽しみで、買い物そのものがドラマになる。

ある時は交渉に失敗し、結局高値で買ってしまったこともある。

だがその布を店に並べた時、お客さんから「こんなの見たことがない」と驚かれた。

仕入れの価値は値段の安さではなく、目利きと直感にかかっていると改めて思い知らされた瞬間だ。

インドの市場は混沌そのものだが、その中でしか出会えない宝物が必ずある。

喧騒の中に立ち、汗をかき、値切り合戦を繰り返す。

その全てがエスニック雑貨屋の血肉となり、店の個性を形作っていくのだ。

日本人は旅の仕方が下手?

ガンジス川で遊ぶ子供たち

 

観光旅行と「旅」の違い

日本人は旅の仕方が下手だと思う。

観光地を巡り、ゲームのストーリーのようにスケジュールをこなす。

それは「海外旅行」かもしれないが、本当の意味での「旅」ではない。

現地の人から学ぶ歩き方

現地の人の歩き方や食事、街の音や光を感じればいいのに、といつも思う。

ネットやガイドブックの写真を確認するだけの旅なら、家でビール片手にテレビを見ていた方がましだ。

仕入れ旅で見たい景色と夢

インド・ジャイサルメールのサリー姿の女性たち

残された時間と地球一周の計画

ボクは今57歳。

自分の足で歩き、こんな旅ができるのもあと12〜13年だろう。

世界を自由に旅する時間はそう長く残されていない。

日本からバンコク、インド、ネパールを経てイスタンブールへ。

モロッコからスペイン、南米を回り、グアテマラからメキシコを抜けて日本へ戻る。

西回りで地球を一周する「仕入れ旅」が今の夢だ。

街ごとの匂いと音を感じる

写真は光が降り注ぐインドの朝。

プシュカルの安食堂で朝食をとりながら眺めていた景色だ。

エスニック雑貨バイヤーは孤独な仕事。

旅の間中、自問自答を繰り返しながら移動を続ける。

行くか戻るか、買うか買わないか。

街にはそれぞれ音や匂い、顔がある。

仕入れの合間にそんな街の気配を感じるのが好きだ。

市場飯と一日の始まり

この日の朝食はマサラドーサと一杯のチャイ。

値段は160円ほど。

しっかり食べて、エスニック雑貨バイヤーの一日が始まる。

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デリーのメインバザールの夕暮れ時
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プシュカルの安食堂から見ていた風景
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